ニコラハウスの秘密

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料理研究家ニコラシャールのホンモノの腕と、店内装飾のホンモノのアンティークについて語る

――“ホンモノ”へのこだわりは理解しました。ただ“ホンモノ”と“うさ耳”の繋がりがやっぱりユニークというか、飛躍しているように見えるんですよね。

久々野智 ニコラさんはフランスでミシュランの一つ星のレストランで修業をして日本に来ているので、ホンモノのフランス料理がつくれます。これは間違いないことです。ただですね、フランスから来たシェフが本格的なフランス料理を出すのに、店内も落ち着いたフランス風で……みたいなことって、はっきり言って面白くないと思うんですよ。そういうのは、ある意味、やり尽くされているというかなんというか…。

また原宿だから、カワイイものが好きな女性に対して、カワイイお店をつくれば喜ばれる……というのもこれまた面白くないでしょう。ニコラハウスの店内にある家具や小物などを見てもらえばわかると思いますが、フェイクではなくすべてがホンモノのアンティークです。ちゃんと古い家具を現地で買ってるんです。そのアンティークと組み合わせて今風の現代アートもある、という飾り方は、メチャクチャといえばメチャクチャなのですが、それぞれが作り物ではなくホンモノである、というところが大事なんです。そうした雑多なものがアンバランスに混在していているのがニコラハウスなんです。

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ホンモノアンティークとかわいいうさぎが混在した店内

混沌としたお店で、かわいいスイーツが食べられて、お友達と一緒にうさ耳をつけて写メが撮れて楽しかったというお客さまもいるでしょうし、出てくる料理やスイーツがおいしくて驚いたというお客さまもいるでしょう。うさ耳はつけたくないけど、味がおいしいから何度も来るというお客さまもいます。僕はそれで全然いいと思っているんです。三者三様のその人なりの楽しみ方ができる。ある種の玉虫色の多面性こそ、ニコラハウスでみなさんに提供したいものなんです。

――私も何度かここに訪れたことがありまして、正直、人気メニューの「お子様ランチ(大人用)」を頼んだことがあります。≪大人なのにお子様ランチ?≫と心の中で突っ込みながらも「大人だってお子様ランチ食べたいでしょう?」と言われたらたしかに食べたい。また「うさぎリエジョア」(パフェ)に至っては、15階層にもなっているし食べ進んでいくとまったく甘くない層が現れることにも驚かされました。結局のところ、このお店が対象とする客層は、子どもなのか、大人なのか、わからなくなってきます。

久々野智 わかりにくいですよね。というか、あえてわからないようにしているんです。僕らが子どもの頃は、ファッションだって趣味や遊びだって、大人には大人の世界があり、子どもには子どもの世界がありました。でも、今は大人が子ども化していて、大人が子ども化しているじゃないですか。そこで、ニコラハウスでは、「大人になりたい、子どもでいたい、ニコラハウス」というのをメインコンセプトにしていこうと思っているんです。

子どもだって初めて出会うホンモノの味がわかるし、大人だってお子様ランチを食べるドキドキ感を味わいたい。そんなことから思いついたのが、「お子様ランチ大人用」なんです。

リエジョアについては、あのボリューム感が新鮮もさることながら、無糖の生クリームを使っているので、「甘さに逃げない」という、これもある種の挑戦なんですね。スイーツの世界には、「甘くすれば甘くするほど売れる」という業界の常識があるのですが、実はそれだけだと飽きられるのも早い。お客さまに長く愛されるには、奥の深いホンモノの味わいでなければと思っているんですよね。

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